「糖尿病かも」と思ったら
糖尿病かもと思ったら
以下に当てはまる方は、一度糖尿病の検査をすることをおすすめします。
家族歴がある方
血縁者に糖尿病の既往歴がある方がいる場合。
肥満の方
体格指数(BMI=体重[kg]/身長[m]²)が25以上の場合。
運動不足の方
定期的な身体活動がほとんどまたは全くない人。
高血圧や脂質異常を指摘されている方
過去の検査で血糖値の異常のあった方
糖尿病に関連する症状のある方
過度ののどの渇き、頻尿、疲労感、体重減少、視力の問題などの症状がある人。
これらの特徴や症状がある場合、糖尿病のリスクが高いため、医療機関での検査を検討することをおすすめします。
糖尿病になったらどのような症状が現れるのか
糖尿病は、早期に発見して治療を開始し、合併症を予防することが非常に大切です。しかし、糖尿病には初期症状がほとんどありません。
糖尿病を早期発見するためには、定期的に検査を受けてご自身の体の状態を把握することが重要です。以下の症状が出現した場合は血糖値が高くなっている可能性があるため、すぐに医療機関を受診することをおすすめします。
のどが渇く、尿の回数が多い
高血糖によって体が過剰な水分を排出しようとするため、いつも以上にのどの渇きを感じ、頻繁に尿を排出するようになります。
体重の減少
体がエネルギーとして使用している糖を効率的に利用できないため、特に意識して体重を減らそうとしなくても体重が減少することがあります。
疲労感
細胞が十分なエネルギーを得られないため、疲れやすさやだるさを感じることがあります。
見え方の異常
高血糖の状態が長期間持続すると、網膜の血管が徐々に障害され視力低下を引き起こします。これが糖尿病網膜症ですが、初期の段階では視力低下などの自覚症状が全く現れません。視力低下を自覚した時にはすでに進行している状態であることが多くあります。
また、急激な血糖値の変化が高血糖が眼球のレンズに影響を与え、一時的な視力障害を引き起こすこともあります。
皮膚と口の乾燥
脱水と血糖値の変動が皮膚の乾燥を引き起こし、口内の乾燥や歯肉の問題を引き起こすことがあります。
糖尿病を早期発見・早期治療するために
急に高血糖の症状が現れて糖尿病が判明した場合、すでに眼や腎臓の合併症が進行している場合があり、合併症が起きる前の状態に戻すことは困難です。そのためにも糖尿病を早期に発見し、治療することが重要です。
定期的な血液検査や尿検査(定期的な健康診断)
糖尿病の初期段階では症状がないことが多いため、定期的な血液検査や尿検査が重要です。血液検査で調べる項目としては、血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)などがあります。
これらの検査項目は、ほとんどの健康診断に含まれるため定期的(最低でも1年に1回)に健康診断を受けることで、自覚症状がない段階の早期に血糖値上昇に気づくことができます。
健康診断の結果「糖尿病」の診断とならなくても「血糖値上昇」「要注意」などの結果が出た場合は、1年に1回だけではなく、3〜4ヶ月に1回など少し短い期間での再検査をおすすめします。
生活習慣の改善
バランスの取れた食事を心がけるとともに、炭水化物の摂りすぎには注意しましょう。常に意識して食事を摂ることで食生活の乱れに早く気づくことができます。食事が最近乱れていると感じた時は病院で検査を受けてみましょう。
週に2〜3日程度の適度な運動もおすすめします。
予防策の実践
適切な体重の維持や肥満の予防を行いましょう。また、喫煙は糖尿病のリスクを高めます。
これらの対策を通じて、糖尿病の早期発見と早期治療が可能になります。特に糖尿病の発症危険因子をお持ちの方は、積極的にかつ早期に対策をとることが重要です。
糖尿病の発症危険因子
糖尿病の発症にはいくつかの危険因子が関連しています。これらの因子は、個人の生活習慣や遺伝的要素によって異なります。
1. 遺伝的要素
- 家族歴:血縁に糖尿病患者がいる場合、糖尿病を発症するリスクが高まります。
- 遺伝子:特定の遺伝子変異は糖尿病のリスクを増加させる可能性があります。
2.肥満
体重が増加することで内臓脂肪が増えると、インスリン抵抗性が強まり、糖尿病のリスクが高まります。肥満度が高いほど有病率は高くなります。
特に、腹部に脂肪が集中する「リンゴ型肥満」は特にリスクが高いとされています。
3. 生活習慣
- 運動不足:定期的な運動が不足していると、2型糖尿病のリスクが高まります。
- 食生活:高脂肪(動物性脂肪)、高カロリー、低食物繊維の食事を続けると、2型糖尿病のリスクが高まる可能性があります。
4. 年齢
特に2型糖尿病は年齢が上がるにつれて、発症するリスクが高まります。
5. 妊娠と糖尿病
妊娠糖尿病と診断された女性は、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高まります。
6. 高血圧と脂質異常症
高血圧や異常な血中脂質(高LDLコレステロール、低HDLコレステロール、高トリグリセリド)は、糖尿病の発症に影響を与える可能性があります。
7. その他の健康状態
膵外分泌疾患、内分泌疾患、肝疾患などの特定の疾患、特定の薬剤や化学物質、感染症などによっても糖尿病が引き起こされることがあります。
これらの危険因子を認識し、可能な限り予防策をとることが、糖尿病のリスクを低減するために重要となります。定期的な健康診断、健康的な食生活、適度な運動、適切な体重管理は、糖尿病の発症予防に有効です。
糖尿病を予防するには
糖尿病の予防は、日々の生活を送る際にいかに意識して行動を実践できるかがとても重要です。以下は、糖尿病予防のための具体的な方法です。
1. 健康的な食生活
バランスの取れた食事
果物、野菜、全粒穀物、高繊維食品を多く含む食事を心がけます。
糖質の管理
砂糖や精製された炭水化物の過剰摂取を減らし、血糖値の急激な上昇を避けます。
適切な量の食事
過食を避け、適切な食事量を心がけます。
2. 定期的な運動
有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて行うことが効果的だと言われています。
有酸素運動
週に少なくとも150分の中等度の有酸素運動(速歩き、ジョギング、サイクリングなど)がおすすめです。
筋力トレーニング
筋力トレーニングを週に数回行い、適正な筋肉量の維持を目指します。
3. 体重管理
肥満の予防
体重管理は糖尿病予防の鍵です。適切な体重を維持することで、糖尿病リスクを低減できます。
減量目標
BMIが25以上で肥満の場合は、現体重の3%減をまず目指しましょう。
達成後は20歳時の体重や個人の体重変化の経過、身体活動量などを参考に目標体重*を決めていきましょう。
*目標体重(kg)=[身長(cm)]²✖️22~25(目標BMI)
4. ストレス管理
リラクゼーション技法
瞑想、深呼吸、ヨガなど自身に適した方法でストレスを軽減します。
適切な睡眠
十分な睡眠を取ることで、ホルモンバランスを保ち、血糖値を安定させます。
5. 定期的な健康チェック
定期的な健康診断
定期的に血糖値などのチェックを行い、糖尿病の診断基準を満たす前の段階で予防的な措置を講じることができます。
リスク評価
家族歴や他のリスク要因がある場合は、より頻繁に健康チェックを行います。
6. 禁煙とアルコールの摂取制限
禁煙
喫煙は糖尿病のリスクを高めるため、禁煙がおすすめです。
アルコール制限
アルコール摂取は食欲増進を引き起こし、血糖値を乱すこともあります。適度なアルコール摂取に留め、過度の飲酒を避けることをおすすめします。
糖尿病の予防は、健康的な生活習慣の積み重ねによって成り立ちます。これらの予防策を実践、継続することで、糖尿病発症のリスクを低減することができます。