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下痢

下痢とは?

下痢とは、水分を多く含んだ排便(いわゆる普通便、軟便よりも多くの水分を含んだ)が排泄される状態のことをいいます。
人の腸管内には、飲水や、各消化管から分泌される消化液(胃液や腸液などを)含めて、1日に10Lもの水分が流入されていると言われています。
このうち、正常な機能の下では8L程度が大腸で吸収され、大腸でもさらに水分が吸収され、排便として腸管から排出されるのは0.1L程度といわれています。
つまり、大半が小腸・大腸で吸収されています。
小腸や大腸での吸収能力に障害が起きたり、腸管の中の浸透圧(内容物の濃度)が変化して水分を吸収しにくい濃度になってしまったり、腸管運動が亢進して吸収される前に排泄物が押し出されたりしてしまうと、下痢になります。
この場合、しばしば頻便(便の回数が増加する)を伴います。

下痢になるとその水分が身体から失われるばかりではなく、併せて電解質(カリウムなど)も排出されてしまうため、電解質・身体の酸性アルカリ性のバランスを崩すなど、容易に影響を与えます。
いわゆる「胃腸炎」と呼ばれている自然に数日で治るものから、治療をしないとよくならない「胃腸炎症状の」別の疾患とがあり、後者の場合には速やかに診断をつけて治療を開始しなければなりません。
一部薬剤性に下痢を起こすこともあり、普段の生活習慣や内服など、背景の生活状況の丁寧な問診も必要となりますが、なかなか原因の分からないこともしばしばあります。
放置しておくと、実は大腸がんに伴う下痢だったということもございますので一度医療機関を受診するようにしましょう。
当院の理事長である好川も消化器内科専門の医師になります。
下痢でお悩みの方は一度ご受診ください。
まずは下記より外来予約をお取りいただければと存じます。

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下痢の原因

下記に下痢を起こしうる代表的な疾患を挙げます。
一般的には、発症のタイミングが急性(1-2週間以内)か慢性(3週間以上)を目安にして、分けて考えていきます。

急性

感染性腸炎(ウイルス性、細菌性)、虚血性腸炎、薬剤性腸炎

慢性

過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、薬剤性腸炎、細菌性腸炎(アメーバ、腸結核)、腹部手術後、慢性膵炎

下痢の検査

  • 採血
  • 腹部CT、腹部エコー
  • 便培養検査
  • 下部内視鏡検査・組織生検検査

下痢から考えられる疾患

病原微生物が腸管に侵入したものを感染性腸炎と呼びます。
有名なものでは腸管出血性大腸菌O-157、サルモネラなどの細菌性がありますし、ウイルス性にも発熱、下痢嘔吐とともに腹痛をきたすことがあります。
中でも細菌性の感染性腸炎は重篤化しやすく、生命にかかわることがあります。
下記に代表的な細菌とその原因食品を挙げます。

腸管出血性大腸菌(EHEC)

加熱不充分な牛肉、レバー

カンピロバクター

生の鶏肉

サルモネラ

生卵

腸炎ビブリオ

生の鮮魚類、塩分のあるような漬物など

黄色ブドウ球菌

おにぎりやサンドイッチなど、素手で調理したもの

セレウス菌

スパゲッティや焼きおにぎりなど

ウェルシュ菌

スープ・カレーなど、加熱後に室温で放置されたもの

細菌性のものであれば便培養検査(検体から細菌を分離して同定する検査)で検出されますが、ウイルス性であれば原因微生物が特定できないことも多いです。
ノロウイルスのように一部キット化されて検査できるものもあります。(保険適応可能かについては年齢などによって異なります。)

治療は細菌性に対しては抗生剤を使用するのが一般的ですが、一部の抗生物質を使用するとむしろ毒素が増えて病状が悪化するような菌もいるとする説もあるため、慎重な治療内容の検討が必要です。
特殊なものでは菌交代現象(何らかの治療で抗生剤を使用した結果、腸管内の善玉菌・悪玉菌のバランスが崩れて、悪玉菌ばかりが繁殖してしまう)が起き、Crostlidium Difficileという病原菌が繁殖し、その毒素で発熱、腹痛、下痢をおこすことがあります。
この場合にはそれまで使用していた抗生剤の見直しや、Crostlidium Difficileをターゲットにした抗生剤の仕様が必要となります。

感染性腸炎では一般的には急性の下痢を起こしますが、腸管アメーバ、腸結核、スピロヘータ症などでは慢性的な下痢をおこすこともあります。

近年増加傾向なのは、炎症性腸疾患(IBD)に総称される自己免疫による腸の炎症性疾患です。
最も罹患者数が多いのは潰瘍性大腸炎で、主に大腸を主座として直腸側から炎症を発症します。
症状としては慢性的な下痢と腹痛、重症度が高まってくると発熱、血便といった症状を発症します。
しばしば元々の体質としての下痢と思われていることもあったり、感染性腸炎と間違われたりすることがあります。

クローン病は、小腸や大腸を中心とした炎症が起き、潰瘍性大腸炎と同様下痢、腹痛、血便をきたすほか、腸管内に炎症性の狭窄を起こして腸閉塞になることがあります。
また小腸の炎症が強い場合、小腸の機能である栄養吸収機能が低下してしまい、痩せてくるといった特徴があります。
診断は大腸内視鏡検査で、特徴的な分布を呈するような炎症像や、病理検査(いわゆる生検)、また、感染性腸炎など他の疾患ではないことを確認する培養検査などを組み合わせて総合的に検査を行います。
過去にはこの疾患の治療には免疫抑制薬としてステロイドくらいしか選択肢がありませんでしたが、現在は生物学的製剤と呼ばれる分類の薬剤が数多く使用でき、日常生活への復帰を果たして病気と付き合いながら生活していくことを目標に管理を行っていきます。

過敏性腸症候群は、検査をしても原因になるような疾患はみつからないものの、便秘と下痢を繰り返す疾患です。
一番有名なのは、緊張で下痢をしやすいという状態で、特定のシチュエーション(発表の日、満員電車の中、試験の日)になると、緊張に伴って腸管の蠕動が亢進して下痢をしてしまうとというepisodeが典型的です。
それ以外にもストレス因子が無くても便秘と下痢を極端に繰り返してしまうものを総称します。
明らかな誘因がある場合にはできるだけ回避をしてもらうようにしつつ、薬物療法などを試すことが多いです。

虚血性腸炎も比較的多い疾患です。
虚血性腸炎は、血管の動脈硬化や、便秘傾向が強くなって腸管内の内圧が上がるなどして大腸への血液の流れが一時的に悪くなる(虚血が発生する)ことで粘膜の細胞が剥がれ落ちてしまう疾患です。
好発部位は左側腹部(下行結腸)~下腹部(S状結腸)で、通常は急性発症の腹痛、血便が典型的な症状です。
虚血は一時的の為、保存療法(食事などの腸管刺激を減らして点滴する)や、抗生剤を使用した二次的な感染予防で治療することが一般的ですが、繰り返したり、重症の場合には腸管が壊死して手術を要することもあります。

その他

一部の薬剤で、下痢や便秘を起こしやすいものがあります。
有名なものはプロトンポンプ阻害薬と呼ばれる胃薬で、長期間の内服により直腸を中心とした大腸に膠原繊維とよばれる線維を沈着し、下痢を起こします。
薬剤性が疑わしい場合には、当該薬剤を中止してみての経過を追っていきます。

慢性膵炎は、アルコール刺激などにより持続性の炎症が膵臓に起こり、膵臓が破壊されてしまう疾患です。
膵臓には外分泌(消化酵素)と内分泌(インスリンなどのホルモン)を分泌する機能があり、このうち膵液は脂質・タンパク質の分解を担っており、膵液分泌が低下すると脂質の吸収が低下してしまい、脂っぽい便になります。
その結果、脂肪便というタイプの下痢を起こします。

またアルコールは腸管内の浸透圧(水を引き付ける力)を上げ、腸管における水分の吸収を妨げてしまうため、飲酒後は下痢をしやすくなると言われています。

下痢でお悩みの方は当院をご受診ください

下痢のしびれの原因になる疾患について解説しました。
ひとえに下痢と言っても、一時的なもので自然に収まるものか、腹痛や血便を伴って重症化する物、普段の生活習慣や内服薬に起因するものまで様々な原因が存在します。
その精密検査には便培養や内視鏡検査などを要することもあります。
長引いたり、脱水兆候が出現する前に、早期の対処を心がけていきたいです。

クリニック田島では消化器内科専門の医師が検査結果をもとに診断・治療を実施いたします。
下痢症状でお悩みの方はお気軽に外来予約をお取りくださいませ。

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