胃痛
胃痛とは?
胃痛は、上部消化管(食道、胃、十二指腸)の疾患による痛みのことです。
胃痛の種類とその原因
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃の疾患として有名なものは胃潰瘍・十二指腸潰瘍です。
その原因として挙げられているのは、ピロリ菌の感染や、NSIADsと総称されている痛み止めの副作用などがあります。
特に痛み止めでは、潰瘍で痛い→痛み止めを飲む→潰瘍を悪くする、というような悪循環に陥ることもあり、さらには痛み止めの効果で痛みが軽減されてしまい、身体のSOSを感じにくくなり、重症化をきたすリスクがあるので、注意が必要です。重症化した場合には、潰瘍が深くなり、血管にあたってしまうと、出血(出血性胃・十二指腸)をきたすほか、より潰瘍が深くなると穴が開く(穿孔)を起こすことがあります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の検査・治療
一般的には上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)で診断をつけ、出血に対する止血も内視鏡でそのまま行うことが多いです。穿孔の診断にはCT検査が有用です。
治療は胃薬が基本ですが、出血をきたし内視鏡的に止血が困難な場合には、血管内治療や手術を要することがあります。穿孔を起こした場合には、状態により手術を要することもあります。また、胃癌や、頻度は少ないですが十二指腸癌でも疼痛を起こすことがあり、長引く症状の場合には同様に内視鏡が推奨されます。胃癌は部位により、進行をすると食事の通り道が狭くなってしまい、通過障害をきたすことがあります。この場合にはCT検査で狭窄部を調べて、精密検査や治療方針を決定していきます。
胃アニサキス症
胃では他に、胃アニサキス症が挙がります。アニサキスはサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生している細い糸のような寄生中です。アニサキス幼虫が寄生している新鮮な魚介類(不充分な冷凍や加熱にとどまったもの)を接触すると内部のアニサキス幼虫が胃壁・腸壁に食いつく(刺入する)とアニサキス症を発症します。一般的には摂取してから数時間~十時間程度で激しいみぞおちの痛み、嘔気・嘔吐を呈して発症します。腸に噛みつく場合には、食後十数時間で激しい腹痛を発症します。冷凍処理(-20℃で24時間が目安)、加熱処理(70℃以上、もしくは60℃で1分)でアニサキスは死滅すると言われているので、このような処理が予防するうえでは重要です。
胃アニサキス症の検査・治療
診断・治療は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で、粘膜に寄生するアニサキス虫体をみつけ、除去します。食後数時間で発症した場合には、胃の内容物が流れるのを待つ待機時間が必要になるので、検査のタイミングは医師の判断にゆだねられます。尚、アニサキスの痛みは消化管の壁に刺入したことで起きる痛みと考えられがちですが、生体がアニサキスに対してアレルギー反応を起こすことで発症するものと言われており、アニサキスが刺入しても無症状の方も数多くいらっしゃいます。健康診断で偶然発見されることもあります。
※「胃の痛み」と思っていたらみぞおちにある他の臓器由来の疾患であることもありますので、胃以外の疾患の可能性も念頭に入れて、ご相談ください