頻尿
頻尿とは?
頻尿とは、排尿回数が通常よりも多い状態を指します。
具体的には、起床~就寝までで8回以上、就寝中で2回以上、排尿が必要とされる場合に頻用と定義されます。
排尿は三大欲求である「排泄」に属し、排尿に関する悩みは日常生活に大きく影響を与えます。
個人の膀胱の容量は一定ですので、尿量自体が増加しても、尿回数を増やして補うため、頻尿となります。
1日の尿量が体重【kg】×40mLを超えるような場合に多尿と定義されます。
口喝と並び糖尿病の有名な初期症状でもありますし、尿量を司るホルモンの異常でも多尿にはなりえます。
また、当然ですが、利尿剤の仕様によって尿量は増えますし、心理的な要因も含めて水分摂取そのものが多い場合には頻尿をきたします。
普段の生活習慣、水分摂取量、基礎疾患、使用薬剤など幅広い問診情報から原因を絞っていきましょう。
とはいっても、頻尿という症状には多彩な原因があり、泌尿器科系のトラブルだけでなく、他領域に起因することもありますし、なかなかご自身の排尿状況が他と比べてどうなのか、判断するのは難しいと思います。
頻尿の症状について詳しく調べたいという方は、医療機関で検査することをおすすめします。
クリニック田島では検査結果をもとに診断・治療をおこないます。
受診を希望される方は下記より外来予約を取得ください。
頻尿の原因
下記に頻尿を起こすの代表的な原因分類を挙げます。
膀胱の容量低下
過活動性膀胱、膀胱腫瘍
残尿量の増加
神経因性膀胱、前立腺肥大症(男性)
多尿
多飲、糖尿病、尿崩症、利尿薬
心因性
過活動性膀胱とは、急な尿意切迫感を催し、トイレに間に合わなかったり、何階もトイレに行ったりするような症状がある場合に診断され、しばしば頻尿も伴っています。
通常は膀胱内にある一定量の尿がたまったところで尿意が発生(膀胱が収縮し、尿道括約筋がゆるむ=弛緩する)するものが、過活動性膀胱の状態では、少量の膀胱内貯留でも膀胱が収縮してしまい、トイレが近くなったり(頻尿)、トイレに間に合わなかったりします。
ホルモン分泌の関係で夜だけ頻尿が起きやすくなる(夜間頻尿)こともあります。
その診断や重症度を評価するには「OABSS:過活動膀胱症状スコア」を用います。
質問3の点数が2点以上・質問全体の点数が3点以上であれば過活動性膀胱の診断となります。
軽症:~5点、中等症:6~11点、重症:12点以上の判定となります。
治療としては生活指導(カフェインの摂取を控えたり、尿量に合わせて飲水するタイミングを調節、自宅内でトイレへのアクセスをよくする)の他、薬物療法(抗コリン薬、β3受容体作動薬等)を行ったり、膀胱内に尿を溜められるよう訓練をしていただいたりします。
膀胱腫瘍は比較的早期に症状が出現しやすい疾患です。
多い症状は血尿、頻尿、排尿時痛で、特に症状はないが(無症候性)血尿、排尿の終わり際に血の塊を排出する場合には注意が必要です。
尿検査で赤血球の存在を確認したり、尿細胞診(尿を顕微鏡で調べて腫瘍細胞が内科を確認)を提出、また膀胱の状態を画像でも確認(腹部エコー、CT検査)していきます。
疑いが高ければ膀胱鏡検査(尿道から内視鏡を入れ、膀胱内を目視で確認)を追加します。
治療方法としては、その進行度にもよりますが、経尿道的腫瘍切除(TUR-Bt)、膀胱全摘術、放射線治療、化学療法などから選択されます。
排尿を終了した後に膀胱内にたまっている尿量を残尿と呼びます。
一般的には正常の残尿量は50mL程度と言われます。
それを超えて残尿がある場合には、膀胱が空っぽにならず次の尿が溜まってくるため、早く次の排尿をしたくなる(頻尿)を引き起こします。
残尿が増える疾患としては男性の前立腺肥大症で、加齢とともに徐々に前立腺のうち尿道に接する部分が肥大化し、尿道を圧迫して尿が出にくくなる疾患です。
残尿測定(排尿後の残尿量を調べる)や画像検査での前立腺のサイズの確認で診断し、薬物療法(α1遮断薬、抗男性ホルモン剤、PDE5阻害薬など)の他、手術療法(TUR-P:尿道から内視鏡を挿入し、肥大した前立腺を切除する)が対処方法です。
また神経因性膀胱と言って、加齢や糖尿病・脳卒中・パーキンソン病といった疾患によって膀胱の機能を司る神経が影響を受けると、膀胱がしっかり収縮せずに尿を出し切ることが出来ず、残尿が残った状態で過ごすことになってしまいます。
一時的にはお腹(膀胱)を手で圧迫してその力を補助したりしますが、程度が強くなってきうると、膀胱への尿の貯留が多くなりすぎてしまい、溢れてきてしまい(溢流性尿失禁)、自発的な排尿と間違えられてしまうこともあります。
残尿が多い状態が持続すると膀胱内で細菌が繁殖しやすくなり、尿路感染を発症し、重症化すると敗血症に移行して致死的となることもあり得ます。
薬物療法としてはα遮断薬を使用しますが、効果が不充分の場合には間欠的自己導尿(カテーテルを都度挿入して尿を排出する)や、尿道カテーテル留置を行うことがあります。
対応する検査
- 採血
- 尿検査・尿細胞診
- 腹部CT・腹部エコー
- 内服薬の確認
- 膀胱鏡検査
- 排尿日誌の記載
頻尿の症状で悩まれている方は、まずは排尿日誌の作成をおすすめします。
排尿日誌に(何時に何mL排出されたか)をつけていただき、現在の状態や、治療によって排尿がどう変化したかをつけていただいて把握していきます。
飲水量がかかわるような疾患では、それにあわせて飲水についても日誌をつけていただいて総合的に判断することもあります。
頻尿でお悩みの方は当院をご受診ください
頻尿の原因になる疾患について解説しました。
排尿という日常動作は、水分摂取や薬剤の影響、そして患っている病気・内服している薬剤でも敏感に変化するものです。
日常的な水分摂取量や排尿日誌をこまめにつけていただき、一緒にその原因を探っていきましょう。
クリニック田島では検査結果をもとに診断・治療をおこないます。受診を希望される方は下記より外来予約を取得ください。